7/25(月) ䷾ 水火旣濟(すいかきせい) 二爻

7/25(月) 水火旣濟(すいかきせい) 二爻


【運勢】
物事が成就する時。
現状に甘んじる事無く、今までの経験を活かし次なる目標を立てると良い。
気を引き締めて、注意深く進める事が大切である。
無理に追い求めるのは良くない。自然の巡りを信じ、気長に待つと良い。


【結果】
䷾◎
水火旣濟(すいかきせい) 二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 老陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[二爻]


【原文】
《卦辭》
旣濟は亨(とほ)る。小、貞に利し。初めには吉、終はりには亂る。
彖に曰く、旣濟は亨るとは、小なる者、亨るなり。貞に利しとは、剛柔正して位當たる。初めは吉とは、柔、中を得るなり。終に止まれば則ち亂る。其の道󠄃窮まるなり。
象に曰く、水、火の上に有るは旣濟。君子以て患を思ひて豫め之を防ぐ。


《爻辭》
六二。婦其の茀を喪ふ。逐ふこと勿れ。七日にして得ん。
象に曰く、七日にして得んとは、中道を以てなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
旣濟は完全に渡り切ったという意味である。小は残らず渡り切った。五爻と二爻が位に当たっているので、邪悪なことは出来ない。ただ正しければ上手く行くのである。柔が中を得たら、小はとおるのである。柔は中を得ていないならば、小はまだ通らない。小はまだうまく行っていない。剛で正を得ているといっても、まだ旣に渡り切れていないのである。だから旣濟の要は柔が中を得るにあるのである。旣濟を安定となすのは、道󠄃が窮まり進めないからである。止まるから乱れるのである。存續している時に亡びることを忘れない。旣濟は未濟を忘れてはいけない。


《爻辭》
中に居りて正を履み、文明の盛なるに處りて、五に應ず。陰の光いに盛なる者なり。然るに初三の間に居りて、近くして相得ず。上は三を承けず、下は初に比しまず。夫れ光いに盛なるの陰を以て、二陽の間に處り、近くして相得ず。能く侵さ見るなきや。故に其の茀を喪ふと曰ふなり。婦と稱するは、自ら夫有るを明らかにするを以て、他人之を侵すなり。茀は首の飾なり。夫れ中道を以て、貞正を執りて、侵さ見る者は、衆の助くる所なり。旣濟の時に處り、邪道を容れざる者なり。時旣に明らかに峻にして、衆も又た之を助く。之を竊む者逃竄して、之れ歸るなし。斯の勢を量るなり、七日を過ぎず、己の逐ふを須たずして、自ら得るなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
濟は交わり作用しあうことである。火が下に在って炎上し、水は上に在って下を潤す。陰陽が互いに作用していることである。陰陽六爻がそれぞれ正しいところにある。二爻は陰で中を得て、上には坎つまり止がある。だから始めは吉を得て、終には止まってしまい、衰乱の時代になる。治乱盛衰は永遠に互いに作用し続ける。陰陽が交わり互いに作用し、日が南中しているようであり、月󠄃が満月に近い状態である。よくうまく行くといっても、ただ小のみである。大吉ではない。ただ正しさを守るべきである。そうしなければ始めはうまく行っても、終いには乱れるのである。易の戒めるところである。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
水火相和して、萬物悉く生育する。何事も亨り達する。小なるものの二爻目は、主爻となり、陰爻を以て陰位にある。よって中を得て居り、小なるものが正しくして居る。内卦は始まりで、萬物が盛んになって来るが、半ばを過ぎれば衰えが出て来るから、油断をせずに対策しなければならない。
[彖傳]
二爻目は柔で陰位にあり、九五は剛で陽位にあり、正しく剛柔である。険難が除けて、天下泰平になる。安楽になれば人は動かず、為すべきことを怠って、乱れが起って来る。
[象傳]
水火相和しているというものの、性質で言えば分かれる所がある。水は火の上に在れば宜しいが、水の性質は下を好む。又火の氣が何処までも上がり、互いに反対に為って相害する所が出て来る。安楽なる内に災の出ない様に之を防がなければならない。
《爻辭》

7/24(日) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 四爻

7/24(日) 風雷益(ふうらいえき) 四爻


【運勢】
物事が好転し皆が大いに益する時。
賢人に従い公の為に尽くすと良い。
相手の気持ちに寄り添い、誠意を持って正しさを守る事が大切である。
献身的な行動が周りを感化する。時機を見て、仲間と共に大事を行うと良い。


【結果】
䷩◎
風雷益(ふうらいえき) 四爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陽][四爻 老陰]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[四爻]


【原文】
《卦辭》
益(えき)は、往く攸(ところ)有るによろし。大川を涉るに利し。
彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。
象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。


《爻辭》
六四。中行なれば公に告げて從はる。依を爲し國を遷すに用ふるに利し。
象に曰く、公に告げて從はるとは、以て志を益すなり。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
益は増すこと、増やすことである。
否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。


《爻辭》
益の時に居り、巽の始めに處る。柔を體して位に當り、上に在りて下に應ず。卑にして下を窮めず、高くして亢に處らず。位中ならずと雖も、中行を用ふる者なり。斯を以て公に告ぐれば、何ぞ從はざること有らん。斯を以て依り遷れば、何ぞ納れざること有らんなり。
志益すを得るなり。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は、前の卦の山沢損と反対である。山沢損は地天泰より来た。そして地天泰は天地否から来た。天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。これで風雷益の卦になる。これが下を益するという義である。上卦の震は、農業の卦である。人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。それで「利有攸往」である。こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。よって「利渉大川」である。
[彖傳]
「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。そこで民が説(よろこ)ぶ。陽が段々進んで往けば兌の卦になる。農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。よって「其道光大」となる。「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。
[象傳]
上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。そして過ちがあれば速やかに改める。震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。雷山小過は霆(激しい雷)である。雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。これは往き過ぎである。善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。
《爻辭》

7/23(土) ䷣ 地火明󠄃夷(ちかめいい) 三爻二爻

7/23(土) 地火明󠄃夷(ちかめいい) 三爻二爻


【運勢】‬
周りと協調し、己の役割を全うするのに良い時。
問題を一人で解決する事は難しい。
急いては事を仕損ずる。今は焦らず地道に力を蓄え、機会を待つと良い。
辛い時も、変わらず正しさを守り続ける事が大切である。


【結果】
䷣◎三⚪︎二
地火明󠄃夷(ちかめいい) 三爻二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 老陽][二爻 老陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[三爻 優先][二爻]


【原文】
《卦辭》
明󠄃夷は艱貞によろし。
彖に曰く、明󠄃、地中に入るは明󠄃夷。内文明にして外柔順。以て大難を蒙る。文王これを以てす。「艱貞によろし」とは、その明󠄃を晦すなり。内艱にして能くその志を正す。箕子之を以てす。
象に曰く、明󠄃地中に入るは明󠄃夷なり。君子以て衆に莅(のぞ)みて晦を用ゐて明󠄃なり。


《爻辭》
[三爻 優先]
九三。南狩に明夷る、其の大首を得たり。疾く貞にすべからず。
象に曰く、南狩の志は、乃ち大に得るなり。
[二爻]
六二。明夷る。左股に夷つく。用ひて拯ふ馬壯なり、吉。
象に曰く、六二の吉は、順にして以て則あるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
衆に莅むは顯明にして、百姓を蔽ひ僞る者なり。故に蒙を以て正を養ひ、明夷を以て衆に莅む。明を内に藏めれば、乃ち明を得るなり。明を外に顯かにすれば、乃ち辟くる所なり。


《爻辭》
[三爻 優先]
下體の上に處り、文明の極に居り。上は晦き爲るに至り、地に入るの物なり。故に其の明を夷り、以て南狩するを獲、大首を得るなり。南狩とは、其の明を發するなり。旣に其の主を誅し、將に其の民を正さんとす。民の迷ひなり。其の日固より已に久しきなり。化するに宜しく漸なるを以てすべし。正を速やかにすべからず。故に疾く貞にすべからずと曰ふ。
闇主を去るなり。
[二爻]
左股を夷るとは、行きて壯んなること能はざるを示すなり。柔を以て中に居り、用て其の明を夷る。進みて類に殊ならず、退きて難に近からず。疑ひ憚ら見ず、順ひて以て則あるなり。故に用ひて馬を拯ふべきにして、壯んにして吉なり。其の翼を垂れず、然る後に乃ち免るるなり。
二爻は左の股を傷つけたとある。これはまだ軽傷であり、幸い馬は元気なので、困難を克服できるとする。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
明󠄃夷は目をくらますことである。心の中では聡明で大きな徳を有しているが、外面は柔順である人、例えば文王のような人である。箕子は紂の親戚で國内にいたが、難󠄄に会い、内に志を正した。


《爻辭》
[三爻 優先]
南の方に狩りに行き、大物を得た。あまり急いでは失敗する。
[二爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
明らかなるものが傷ついて夷(や)ぶる。内卦の離は明らかなるもので、外卦の坤は欲である。前の卦の火地晋の明徳が欲のために夷ぶれ亡びようとする所の卦である。
[彖傳]
明らかなるものは地の底に這入って悉く失われる。明徳を身に懐いていながら、その明徳を外に現さずに巽順にして能く仕えている。その結果、柔順なる聖人は大難を蒙る。ちょうど文王と殷の紂王の無道なる時に該当する。
[象傳]
明らかなるものが地の中に這って真っ暗に為った所が明夷である。君子は万民の上に立って晦を用いる。天子は余り世間の事を細かい所まで見るようではいけない。


《爻辭》
[三爻 優先]
九三は離の卦の最後である。離は南の象とともに、火で物を害する所があるから兵の象がある。つまり南において狩りして大首を得るとは、ちょうど殷の紂王を伐ったことにあたる。しかし是は堪えに堪え、抑えに抑えても、止めることが出来ないために已むを得ず撃ったのである。
[象傳]
南狩の志とは、多いに人民を得たことである。
[二爻]

7/22(金) ䷙ 山天大畜(さんてんたいちく)→䷿ 火水未濟(かすいびせい)

7/22(金) 山天大畜(さんてんたいちく)→䷿ 火水未濟(かすいびせい)


【運勢】
力を蓄えるのに良い時。
目標を明確にすると良い。
初めから学問道徳に優れた者はいない。
偏見を持たず、冷静に知見を広げると良い。
失敗を恐れず、最後までやり抜く事が大切である。


【結果】
䷿
本卦:山天大畜(さんてんたいちく)
之卦:火水未濟(かすいびせい)
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 老陰]
[三爻 老陽][二爻 少陽][初爻 老陽]
《爻辭》
[四爻][三爻][初爻]


【原文】
《本卦:
山天大畜》
大畜は貞に利(よろ)し。家食󠄃せざる吉。大川を渉るによろし。
彖に曰く。大畜は剛健篤實輝光。日にその德を新たにす。剛上りて賢を尚ぶ。能く健を止むるは大正なり。家食󠄃せずして吉。賢を養ふなり。大川を渉るによろしとは、天に應ずるなり。
象に曰く、天山中に在るは大畜。君子以て多く前言往行(わうこう)を識して、以てその德を畜(やしな)ふ。


《之卦:
䷿ 火水未濟》
未濟は亨(とほ)る。小狐、汔(ほとん)ど濟(わた)る。其の尾を濡らす。利(よろ)しき攸(ところ)なし。
彖に曰く、「未濟は亨る」とは、柔、中を得るなり。「小狐、汔(ほとん)ど濟(わた)る」とは、未だ中に出でざるなり。「其の尾濡らす利しき攸なし」とは、續いで終らざるなり。位に當たらざると雖も、剛柔應ずるなり。
象に曰く、火、水上に在るは未濟。君子以て愼みて物を辨(わきま)へて方に居る。


【解釋】
《本卦:
山天大畜》
〔王弼、東涯の解釋〕
大畜は大きく蓄へる、とどむることである。剛健篤実でますます徳が高くなることを表す卦である。剛い者が最上位に登り、賢者を尊んで賢者を養う。賢者は家から出て朝廷に仕えはじめた。吉である。大事業をするのに良い時である。


〔根本通明の解釋〕
大畜は、君が臣を止めて畜(やしな)う卦である。大は君のことである。大畜とは反対に小畜という卦がある。小畜は、臣の方が君を止めるという卦である。小は臣のことである。上卦の艮は身体である。三・四・五爻目の震は仁である。また二・三・四爻目に兌は義である。つまり仁義の徳を身の内に具えていることになる。畜の字は、止めるというだけでなく、之を育てて善くするという義がある。徳を十分に養はねばならない。君は、臣の早く出世を求める心を抑えて、十分に学問を以て徳を養わせるのである。また養われる側も、貞所を守るのが良いので、「利貞」という。「不家食吉」とは、学問道徳のある人物は君に用いられ、禄を以て養われる所となる。そのため賢人は家に居って食することは無い。朝廷に招かれた賢人は、危険なことがあっても之を踏み越えて往くのが良い。そこで「利渉大川」という。
[彖傳]
天子に剛健なる徳が具わっている。政務を執っても疲れることがなく、篤実である。篤実は艮の卦の象である。また艮の陽爻が上にあり、光輝く所がある。「日新」というのは、乾の卦で象で、日々昇り沈んでいく太陽である。「其徳剛上」は、上九を指していう。上九は剛にして一番上に居る。
[象傳]
上卦の艮は山、其の山の中に天がある。山中には天の元気が十分に満ちている。火気と水気の働きで草木が良く生じ、禽獣も繁殖する。これが大畜である。「前言」は震の象である。また震は行くという事もある。


《之卦:
䷿ 火水未濟》
〔王弼の解釋〕
柔が中にあり、剛に違わない。よく剛健を納めるので、うまく行く。小狐が大きな川を渡ることができない。あと少しの所󠄃で実現できない。剛健が難を抜き、その後に可能になる。ほとんどわたれるが、危険を脱することができない。小狐渡れるだろうが、余力がない。もう少しで渡れるのであるが、力尽きる。終わりまで続けられない。今も険難の時である。未濟はまだ険難の時が終わらないの意󠄃味である。位に当たらないので未濟である。剛柔が応ずれば済む。


〔東涯の解釋〕
未濟は事が成就しないことである。火が上に在り、水が下に在る。上下交わらない。互いに用いないので未濟という。五爻は柔で中にいる。ことはよく通󠄃るが、初爻は陰で一番下にいて中に到らない。狐は陰の存在であり、積極的にやろうとすると失敗に終わる。始めはうまく行く。そして、下に止まっていればよいのである。いたずらに難局を打開しようとすれば失敗する。君子は外は時勢を見て、内は己の才をはかる。上が陽で下が陰である。互いに妨害しない。


〔根本通明の解釋〕
下は水上は火である。水は低きにあり火は上に昇るもので、居るべき場所にいるが、互いに和することが無い。互いが作用しないので、萬物が創造されない。しかし、両者あるべき場所に在る。しかし、いずれは互いに動き出し、交わり始めるのである。だから最終的には亨るのである。
坎は狐である。この卦の場合、小さな狐である。それが川を渡ろうとするが、終にはしっぽを濡らしてしまう。狐は川を渡る時にしっぽを濡らさないようにあげている。疲れてくるとしっぽが下がり、水につかって驚いて引き返してしまう。忍耐力が無いのである。忍耐力が無いと何事をしてもうまく行かない。気力が無いと何事も達成できないのである。
[彖傳]
柔が中を得ている。五爻のことである。これが主爻である。また初爻に關しては、あと少しのところまでやって、忍耐力なく引き下がる。この卦全体でみると、ことごとく全て位を外している。陰は陽に居て、陽は陰に居る。しかし、隣同士陰陽で相性が良く、うまく行っている。また、初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻、それぞれ応じている。最終的にはうまくいくのである。
[象傳]
火は南に居り、水は北に居る。自分の居場所をはっきりとしていて、混じるところが無い。何事もはっきりと分ける象である。
離はものを明󠄃らかにする。それぞれが自分のいる場所にいることを示している。

7/21(木) ䷃ 山水蒙(さんすいもう) 五爻

7/21(木) 山水蒙(さんすいもう) 五爻


【運勢】
ありのままが一番良い時。
先を見通せていない。
初めのうちは上手く行っても、目標までの過程を明確に出来なければ、成功しない。
急がば回れ。
常に考え努力する事が大切である。
先人に倣い、学びを深めると良い。


【結果】
䷃◎
山水蒙(さんすいもう) 五爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陰][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻]


【原文】
《卦辭》
蒙は亨る。我れ童蒙に求むるにあらず。童蒙、我に求む。初筮すれば吿ぐ。再三すれば瀆(けが)る。瀆るるときは則ち吿ず。貞に利あり。
彖に曰く、蒙は山の下に險あり。險にして止まるは蒙。蒙は亨る。亨を以て行く。時に中するなり。我れ童蒙に求むるにあらず。童蒙、我に求むとは、志、應ずるなり。初筮するときは吿ぐとは、剛中を以てなり。再三するときは瀆る。瀆るるときは則ち吿げずとは、蒙を瀆すなり。蒙以て正を養ふとは聖の功なり。
象に曰く、山下に出づる泉あるは蒙。君子以て行を果たし德を育(やしな)ふ。


《爻辭》
六五。童蒙吉。
象に曰く、童蒙の吉は順にして以て巽(したが)ふなり。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
蒙は子供や愚か者の意󠄃味である。山の下に泉があるが、山のせいで流れない。どんな子供でも継続して学べば大成できる。我とは二爻、童蒙は五爻である。五爻が二爻に学びを求めている。二爻と五爻とは応じていて、よく学べる。筮は最初には良く告げてくれるが、二回三回と繰り返せばそれは冒瀆であり、ちゃんとした答えは返ってこなくなる。


《爻辭》
陰で尊󠄄位に居る。自ら察することせず二爻に委任する。聡明を労せず。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
蒙は未だ智慧が無い状態のため、師を建てるという義である。善良なるものが外から覆われており、それを取り除くには学問をもってするしかない。また教えるという象もある。天子が皇太子を教えるのが主となっている。能く教えて道徳を十分に発達させる必要がある。しかし、皇太子の方から教えを受けたいと求めなければいけないのであり、我が方から求めるのではない。先生は二爻で、童蒙は五爻である。筮は神に誠を以て物を伺い問うのであり、二度三度と占えば、初めの心が穢れてしまうため、正しい所は告げられない。
[彖傳]
山の下に河があり、進んで往けず止まる。また学問が無ければ世の中に出ることは出来ない。しかし元来亨るだけのものがあるので、覆っている包みを取り除けば良い。童蒙の方に志があり求める所があれば、それに応じて教える。もし志が穢れていれば告げない。心が潔く誠が無ければいけない。
[象傳]
山は内側に水を蓄えている。堀り鑿(うが)てば中から水が湧いてくる。人の善性は、学問を以て外側の覆いを取ることで発達してくる。これが蒙の卦である。二・三・四爻は震で、善き行いであり、遂げるという義がある。


《爻辭》
六五は九二の教えを受ける皇太子である。師を南面させて皇太子は北面して、師を尊んで教えを受ける。其所で吉である。
[象傳]
能く順柔にして、以て之に従う所があるから、吉である。至って巽順にして、我が身を降して教えを受けるのである。

7/20(水) ䷔ 火雷噬嗑(からいぜいごう) 三爻

7/20(水) 火雷噬嗑(からいぜいごう) 三爻


【運勢】
非情な決断を迫られる時。
問題を明確にし、障害を取り除くと良い。
謙虚な姿勢で周りの助けを借り、自らの行いを反省する事が大切である。
簡潔に結論を述べ、堅実に秩序を守ると良い。正道を守る事が大切である。


【結果】
䷔◎
火雷噬嗑(からいぜいごう) 三爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 老陰][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[三爻]

【原文】
《卦辭》
噬嗑は亨(とほ)る。獄を用うるによろし。
彖に曰く、頤(おとがひ)の中に物有るを噬嗑といふ。噬(か)み嗑(あは)して亨る。剛柔分かれ、動いて明󠄃なり。雷電合して章なり。柔、中を得て、上行す。位に當たらざると雖も、獄を用うるに利しなり。
象に曰く、雷電は噬嗑。先王以て罰を明󠄃らかにし、法を勅ふ。


《爻辭》
六三。腊肉を噬みて、毒に遇ふ。小し吝なり。咎なし。
象に曰く、毒に遇ふとは、位當たらざるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
噬はかむこと。嗑は合わせることである。物は親しくなかったら、間を開けるものである。物が整わず、過ちがある。噛み砕いて合わせると通ずる。噛まなければ通じない。刑に服して改心するのは獄の利である。剛柔は分かれて動けば乱れず、明らかである。雷電が合わされば明るい。獄に用いるべきである。五爻が主爻である。五爻は位に当たっていないが、獄に用いるのに良い。


《爻辭》
下體の極に處りて、其の位に非ざるを履む。斯を以て物を食へば、其の物必ず堅なり。豈に唯だ堅なるのみならんや、將に其の毒に遇はんとす。噬は以て人を刑するを喩へ、腊は以て服さざるを喩へ、毒は以て怨み生ずるを喩ふ。然して四を承けて、剛に乘らず。其の正を失ふと雖も、刑するに順なるを侵さず。故に毒に遇ふと雖も、小し吝なり、咎なし。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
噬嗑は嚙合わせることである。物が口の中に入っている。これを嚙合わせるのである。上下に二陽があるが、これが口である。四爻の陽爻が口の中のものである。内卦は動いて外卦は明󠄃るい。この卦は賁から来ており、賁の二爻が上に昇って五爻に来ている。位に当たっていないが、君位に居て柔順の德と勢いを失っていない。刑罰を執行するによい。剛と柔が卦の中を得ており、偏りがない。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
噬は噛む、嗑は合わせるである。口の中に物が一つある。頤は上に動いて物をかむ。上のあごは動かないものである。飲食をする卦である。堅いものが四爻に一つある。骨である。また、上と下とを通わせない悪人である。悪人を取り締まるのが刑獄である。刑獄を用いるによいというのは、そういうことである。雷、火は造物者󠄃が天地の間の惡を砕くためにある。
[彖傳]
上は火で下は雷。火は陰で雷は陽である。雷は動く。すると火が起こり、明るくなって、悪人がよく見えるようになる。五爻は陰爻であり、位に当たっていないが、刑獄にはよい。なぜなら、陽であったなら強すぎて苛烈な刑罰を下す。それよりは陰の方が良い。
[象傳]
朱子学者は雷電を電雷にした方が良いという。上が火で、これが電、下が雷というのである。しかし其れは良くない。文字に拘泥して道理に背いている。この電は雷に発したものであるから、雷電で良いのである。三四五爻に
がある。是を法律とする。世の中に悪人は絶えないものであるから、刑獄の必要性はなくならないのである。
《爻辭》

7/19(火) ䷝ 離爲火(りゐか)→䷞ 澤山咸(たくざんかん)

7/19(火) 離爲火(りゐか)→ 澤山咸(たくざんかん)


【運勢】
軽率な行動が不和を生む時。
感情に身を任せてはいけない。公明正大な者に倣うと良い。
自然な感性を大切にし、広い視野で冷静に物事を捉え判断する事が大切である。
内実の伴う行動で誠意を示すと良い。


【結果】

本卦:離爲火(りゐか)
之卦:澤山咸(たくざんかん)
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[上爻][五爻][初爻]


【原文】
《本卦:
離爲火》
離は貞に利(よろ)し。亨(とほ)る。牝牛を畜(やしな)へば吉。
彖に曰く、離は麗なり。日月は天に麗(つ)き、百穀草木は地に麗き、重明󠄃以て正に麗く。乃(すなは)ち天下を化成す。柔、中正に麗く。故に亨る。是を以て牝牛を畜へば吉なり。
象に曰く、明󠄃兩たび作るは離。大人以て明󠄃を繼ぎ、四方を照らす。


《之卦:
澤山咸》
咸(かん)は亨(とほ)る。貞に利(よろ)し。女を取る吉なり。
彖に曰く、咸は感なり。柔上りて剛下る。二氣、感應(かんわう)して以て相與(そうよ)す。止(とどま)りて說󠄁(よろこ)ぶ。男、女に下る。是を以て亨り、貞に利し。女を取りて、吉なり。天地感じて萬物化生す。聖人人心を感ぜしめて、天下和平󠄃。その感ずる所を觀て、天地萬物の情見るべし。
象に曰く、山上に澤有るは咸。君子以て虚にして人に受く。


【解釋】
《本卦:
離爲火》
〔王弼の解釋〕
離は柔であることが正しい。だから、必ず正しくして後にうまく行く。陰爻が卦の真ん中にある。牝の善いものである。外は強くて内は柔らかい。牛の善いものである。柔順を良しとする。凶暴な動物を飼ってはならない。牝牛を飼うのが良い。それぞれのものが、あるべき場所にあるのが良い。陰爻が真ん中に在ればうまく行く。吉。強暴な動物を飼うべきでない。


〔東涯の解釋〕
離は附くということである。一陰が二陽の間についている。火であり、日であり、電気であり、德としては明󠄃である。皆柔順であることを知っている。明󠄃は正しくあるのに良い。世の中で明󠄃を用いれば、正を失いがちである。明󠄃が二つ重なる状態で正を忘れなければ、天下を化成することが可能である。坤では牝馬の貞によいとあったが、この離では牝牛である。柔順の徳というより、柔順な人に服するのが良い。智の至りである。明󠄃とは日のことである。前の日が没しても、次の日の出がある。君子はこれを体現し、前の王の明徳を継いでいくのである。


〔根本通明の解釋〕
離はつくの意󠄃味である。正しくあればどこまでもよい。陰が陽爻二つの間についている。この陰爻は坤からきた。牝牛は柔順であり、温厚である。二爻と五爻が牝牛であるから、柔順の徳をやしなうべきである。
[彖傳]
乾の卦の二爻と五爻に陰爻がついたのである。日月は天について天下をあまねく照らす。また百穀草木は地に附いて盛んである。明󠄃の上に明󠄃が重なっているので、重明󠄃という。それが皆正しい位置についている。日月が天下を照らすように、君主も今日も明日も正しさを失わずにいれば、あまねく天下を化すことが出来る。中正なる所󠄃に居るのは二爻である。牝牛というのは二爻のことである。天子は每日明徳を以て政治をしなければならない。


《之卦:
澤山咸》
〔王弼の解釋〕
陰陽二気が揃ってはじめて萬物が化生する。天地万物の樣は感ずるところに現れる。同類でないものは心を通わせることが難󠄄しい。陰は陽に応じるものであるが、下でなければならない。下に在って初めて吉である。虚心になって人の意見を受け入れれば、物は感応する。


〔東涯の解釋〕
咸は感じることである。反転すると
雷風恒になる。恒の初爻がこの咸の上爻になったのである。恒の四爻が下って咸の三爻になったのである。つまり、柔が昇って剛が下りている。陰陽二気が通じ合っているのである。内卦は止まり、外卦は喜ぶ意󠄃である。艮の少男を兌の少女に下す。皆和順している。物事がうまく行き、正しくしていれば害はない。人が交わる時は、互いが得るものがないと心が通じ合わない。妄動して心の通わせあいが正しくないと、良くない。


〔根本通明の解釋〕
是は下経の始まりである。上経は天地を以て示した所で、下経は人を以て示す所である。人倫の道は夫婦が始まりであるので、此の卦が下経の始まりなのである。『序卦伝』では、この卦の始めに宇宙の発生の順番を「天地、萬物、男女、夫婦、父子、君臣、上下、礼儀」としており、夫婦は父子君臣に先立つ。上卦は沢、下卦は山で、沢の水気が山の上に十分に上った象であり、山の気と沢の気と相交わっている。兌は少女、艮は小男である。上は外、下は内であるから、男子が外から妻を迎え入れる所の象である。男女正しき所を以て相感じるのであり、情欲の私を以て感じるのではいけない。そこで「咸」の字は下心のつく「感」を使わない。
[彖傳]
咸は無心で咸じる所を尊ぶ。情欲の私があってはいけない。天の気が地の気の下に来て、地の気が上に上る所である。婚姻の礼は皆男子の方から女の方へ下って求める。天地陰陽相感じることで、萬物が生じるのである。
[象傳]
山上に水気が上っているのが咸の卦である。山から豊富な水が出てくるのは、山には土が満ちているようで、水気を受け容れるだけの虚なる所がある。それが為に君子も我を虚しくして、人に教えを受ける所がある。我が満ちていてはいけない。

7/18(月) ䷍ 火天大有(かてんたいゆう) 五爻二爻

7/18(月) 火天大有(かてんたいゆう) 五爻二爻


【運勢】
物事が盛大になる時。
善事を勧め、悪事を懲らす。価値観を遍く共有する事が大切である。
力強く目標を掲げ、皆の模範となる様に行動すると良い。
謙虚な姿勢で周りとの親交を深め、信頼を得る事が大切である。


【結果】
䷍◎五⚪︎二
火天大有(かてんたいゆう) 五爻二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 老陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻 優先][二爻]


【原文】
《卦辭》
大有は元(おほ)いに亨る。
彖に曰く、大有は柔尊󠄄意位を得て、大中にして上下之に應ず。大有といふ。その徳剛健にして、文明。天に應じて、時に行く。是を以て元いに亨る。


《爻辭》
[五爻 優先]
六五。厥の孚ありて、交如たり。威如たり。吉。
象に曰く、厥の孚ありて交如たりとは、信以て志を發するなり。威如の吉とは、易にして備ふるなきなり。
[二爻]
九二。大車以て載す。往く攸有り。咎なし。
象に曰く、大車以て載すとは、中に積みて敗れざるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
大いに通らない。どういう理由で大有を得られよう。大有ならば必ず大吉である。五爻は尊󠄄位に柔でいる。中に居るのは大である。陰が一つしかない。上下応じている。德が天に應ずれば、行くに時を失わない。剛健は滞らない。文明犯さず。天に応じれば大。時行きて違わない。だから大いに通る。大有は包容の象である。だから勧善懲悪が美しいのである。天德を順奉し。ものの命を休す。


《爻辭》
[五爻 優先]
尊に居るに柔を以てし、大に處るに中を以てす。物に私するなく、上下之に應じ、信以て志を發す。故に其の孚ありて交如たり。夫れ物に私せざれば、物も亦た公なり。物を疑はざれば、物も亦た誠なり。旣にして公且つ信なれば、何ぞ難からんや、何ぞ備へんや。言はずして敎へ行はる、何ぞ爲ひて威如ならざらんや。大有の主爲り。此の道を以てせざれば、吉得べけんや。
[二爻]
重きを任じて危ふからず。
健にして中に違はず、五の任ずる所を爲す。重きを任じて危ふからず、遠きに致らんとして泥まず。故に以て往くべきして、咎なきなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
大有はそのあるところが大。五爻は柔中尊󠄄位にいる。上下の五つの陽がこれに応じている。盛大である。大とは陽のことで陽が沢山ある。五爻が二爻と応じている。これは智勇兼備である。五爻に澤山の賢人が集まり、天命も之を助ける。勝道󠄃というべきである。
《爻辭》
[五爻 優先][二爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は、大なる物多しと云うのは、天下皆賢人と云う義である。賢人が多ければ、何事も亨らないことが無い。「有」の字は富むという義、また多いという義にもなる。『詩経』の魚麗篇に「旨且有(うまくして、かつ、おおし)」とあり、多いという義である。「大有」は、「大いにある」と読んでは駄目で、「大なる物が多い」という義である。大なる物は五爻目以外の陽爻で、大人・君子・賢人のことである。しかしその様な人才は容易に得難く、盛んなる世であった堯舜の時で臣五人、周の国で十人しかなかった。
[彖傳]
賢人が多く朝廷に出で来、君は能く賢人の言を用いる。上に居る賢人も、下に居る賢人も、皆君に応じて来る。大中は、上卦が元は乾だったのが、真ん中に陰爻が出来たことを云う。この卦を一人の天子の徳で言えば、剛健であり、時に従って能く行う。
[象傳]
火気が地の底から十分に上に昇って居り、万物が盛んになる所である。下卦は乾の卦であるから十分に充ちている。天下は至って富んでおり、人民は生活に不足が無い。しかし三、四、五爻目には、兌の卦があり、楽しみに流れる傾向がある。其処で、盛んな時には悪い者を遏(とど)め、善を掲げる。何時の世でも、名君の時でも、悪人を無くすのは難しい。この卦では、九四が悪人である。この大臣は、君に諂う所を以て立身した人で、表面上は君子のようで君子では無い。
《爻辭》
[五爻 優先][二爻]

7/17(日) ䷦ 水山蹇(すいさんけん) 三爻初爻

7/17(日) 水山蹇(すいさんけん) 三爻初爻


【運勢】
どの道を進んでも厳しい時。
焦りは失敗の元となる。
困難な時こそ真価が問われる。
修身斉家を心掛け、謙虚な姿勢で地道に努力し、力を蓄えると良い。
為せば成る。最後まで諦めず、公の為に尽くす事が大切である。


【結果】
䷦◎三⚪︎初
水山蹇(すいさんけん) 三爻初爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 老陽][二爻 少陰][初爻 老陰]
《爻辭》
[三爻 優先][初爻]


【原文】
《卦辭》
蹇(けん)は西南によろし。東北によろしからず。大人を見るによろし。貞にして吉。
彖に曰く、蹇は難󠄄なり。險(けん)前に在る。險を見てよく止まる。知なるかな。「蹇は西南によろし」とは、往きて中を得る。「東北によろしからず」とは、その道窮(きは)まるなり。「大人を見るによろし」とは、往きて功あるなり。蹇の時用大なるかな。
象に曰く、山上に水あるは蹇。君子以て身に反して德を修(をさ)む。


《爻辭》
[三爻 優先]
九三。往けば蹇み來り反る。
象に曰く、往けば蹇み來り反るとは、内之れを喜ぶなり。
[初爻]
往けば蹇(なや)み、來れば譽(ほまれ)あり。
象に曰く、「往けば蹇み、來れば譽あり」とは、宜しく待つべきなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
西南は地であり、東北は山である。難󠄄しい平地を行けば解決は難しい。難󠄄しい山地を行けば道󠄃が窮まる。爻は全部位に当たっている。正しきを履んでいるのが、邦を正す道である。ただし、難に遇うと正を失う。それは良くない。小人には対処できない。難󠄄を除くには德を高めるしかない。


《爻辭》
[三爻 優先]
進めば則ち險に入り、來れば則ち位を得。故に往けば蹇み來り反ると曰ふ。下卦の主爲りて、是れ内の恃む所なり。
[初爻]
難の始めの所󠄃であり、止まるの始めである。
事前に危ないことが分かり、其時を待つ。
往けば難󠄄に遇い、来れば誉ありである。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
蹇は難である。進むことができない。前に難があり進めず、険難があるので止まる。蹇が変わると解になる。解の二爻が外卦の五爻に行って中を得る。だから、西南がよく、止まりて進まない。東北に利なし。五爻は位に当たって中正。君を得て、國を正すことが出來る。だから賢人に遇う時であるという。世が乱れているので、蹇に遇えば身を滅ぼす。時を待って行動せよ。我が身を反省して、德を修めよ。


《爻辭》
[三爻 優先]
[初爻]
君子は安全な場所にいて、天命の時を待つ。小人は往きて難󠄄に遇い、破滅する。時を待ちて動け。名誉を求めない。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
蹇は歩行が難󠄄しい状況である。西南がよい、上卦が
であるが、上に在る時は月󠄃である。二三四爻の互卦にもがある。これは三日月を表す。旧暦の三日に西南から現れ、東北になくなる。又西南は坤である。草莽にいてどこまでも学問をして學藝を磨くのかよい。何の能力もなく朝廷に出ようとしてはならない。艮は朝󠄃廷を表す。学問を修めたのなら、賢人に遇って、天下を経営するのに良い。
[彖傳]
の卦は大水であり、行けばおぼれてしまう。は止まるであるから、大水に行かずにとどまった。目の前に大水があるので、進めない。止まるべきところで止まるのが知である。西南に於いて学問を修めから、東北に行けば賢人に遇って、明君を得ることになる。今は無学であるから、進んでも利なし。険難の時代に生まれても大いに活躍できるのである。
[象傳]
君子は険難の時代には、良いことをしようとしてもうまく行かない。そこで、己を正しくして、だんだんと德を修めると二爻から上爻までは正しい位にいるが、初爻だけは陽の位に陰でいる。始めが正しくないといけない。だから君子はまず自分の修身から始めるのである。


《爻辭》
[三爻 優先]
[初爻]
外に行くのではなく、内に入ってとどまっておけば、それが誉であるという。つまり、時を待つべきである。
[象傳]
時を待たねばならない。無闇に進むのは良くない。

7/16(土) ䷝ 離爲火(りゐか)→䷵ 雷澤歸妹(らいたくきまい)

7/16(土) 離爲火(りゐか)→ 雷澤歸妹(らいたくきまい)


【運勢】
軽率な行動が不和を生む時。
感情に身を任せてはいけない。
相手に対して寛容になると良い。
皆が正しさを共有すれば、自然と秩序は守られ何事も上手く行く。
柔軟に答えを導き出す事が大切である。


【結果】

本卦:離爲火(りゐか)
之卦:雷澤歸妹(らいたくきまい)
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 老陽][二爻 老陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[上爻][三爻][二爻]


【原文】
《本卦:
離爲火》
離は貞に利(よろ)し。亨(とほ)る。牝牛を畜(やしな)へば吉。
彖に曰く、離は麗なり。日月は天に麗(つ)き、百穀草木は地に麗き、重明󠄃以て正に麗く。乃(すなは)ち天下を化成す。柔、中正に麗く。故に亨る。是を以て牝牛を畜へば吉なり。
象に曰く、明󠄃兩たび作るは離。大人以て明󠄃を繼ぎ、四方を照らす。


《之卦:
雷澤歸妹》
婦妹は征けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)なし。
彖に曰く、歸妹は天地の大義なり。天地交はらざれば萬物興らず。歸妹は人の終始なり。說󠄁(よろこ)びて以て動く。妹を歸く所󠄃なり。征けば凶とは位に当たらざるなり。利しき攸なしとは、柔、剛に乘ずればなり。
象に曰く、澤上に雷有るは歸妹。君子以て終を永くし敝(へい)を知る。


【解釋】
《本卦:
離爲火》
〔王弼の解釋〕
離は柔であることが正しい。だから、必ず正しくして後にうまく行く。陰爻が卦の真ん中にある。牝の善いものである。外は強くて内は柔らかい。牛の善いものである。柔順を良しとする。凶暴な動物を飼ってはならない。牝牛を飼うのが良い。それぞれのものが、あるべき場所にあるのが良い。陰爻が真ん中に在ればうまく行く。吉。強暴な動物を飼うべきでない。


〔東涯の解釋〕
離は附くということである。一陰が二陽の間についている。火であり、日であり、電気であり、德としては明󠄃である。皆柔順であることを知っている。明󠄃は正しくあるのに良い。世の中で明󠄃を用いれば、正を失いがちである。明󠄃が二つ重なる状態で正を忘れなければ、天下を化成することが可能である。坤では牝馬の貞によいとあったが、この離では牝牛である。柔順の徳というより、柔順な人に服するのが良い。智の至りである。明󠄃とは日のことである。前の日が没しても、次の日の出がある。君子はこれを体現し、前の王の明徳を継いでいくのである。


〔根本通明の解釋〕
離はつくの意󠄃味である。正しくあればどこまでもよい。陰が陽爻二つの間についている。この陰爻は坤からきた。牝牛は柔順であり、温厚である。二爻と五爻が牝牛であるから、柔順の徳をやしなうべきである。
[彖傳]
乾の卦の二爻と五爻に陰爻がついたのである。日月は天について天下をあまねく照らす。また百穀草木は地に附いて盛んである。明󠄃の上に明󠄃が重なっているので、重明󠄃という。それが皆正しい位置についている。日月が天下を照らすように、君主も今日も明日も正しさを失わずにいれば、あまねく天下を化すことが出来る。中正なる所󠄃に居るのは二爻である。牝牛というのは二爻のことである。天子は每日明徳を以て政治をしなければならない。


《之卦:
雷澤歸妹》
〔王弼の解釋〕
妹は少女のことである。兌は小陰で、震は長陽である。小陰が長陽を承けるので、よろこんで動く。妹を嫁がせる象である。陰陽が既に合って長と少が交わった。天地の大義、人倫の終始と言える。少女を長男に嫁がせる。少女は嬉しくない。不正を犯し、それを喜んで動くのは邪道である。終には敝を知る。


〔東涯の解釋〕
婦人のことを嫁とも歸ともいう。兌は少女、震は長男である。これは婦人が嫁ぐ時に礼を失している。二爻から五爻まで位を得ていない。三爻と五爻の陰爻が陽の上に居る。これは陰として正しくない。夫が先に声をかけて、それに妻は随うのである。これは天地の大義である。父母の命、媒酌の言を待ち、礼を尽くす。その後にそれぞれがその道を尽くして家道󠄃がなる。正しい道に由らないと、その夫婦は礼儀を乱し、制御できなくなる。


〔根本通明の解釋〕
上卦は震で長男、下卦は兌で少女である。兄たる六五の天子は、六三の我が妹を以て、諸侯に嫁がせる。兌は巧言令色で、男子を玩ぶ象がある。しかし婚姻は必ず男子の方から求めるべきものだから、女子の方から征くのは凶である。
[彖傳]
夫婦の道は、天地陰陽の道である。陰陽が正しく交わって、萬物が生じる。天地の大義は、人の大倫である。孟子も、男女室に拠るは、人の大倫と云う。兌は說び、震は動く。これは妹が帰ぐ所の義にあたる。三爻目の陰が、一・二爻目の陽の上に乗っており、柔が剛を凌ぐ所がある。これは戒めなければならず、この女が征けば凶である。
[象傳]
澤上に雷がある。雷が動けば、澤も随って動く。これは男子が動いて事を行い、女子がこれに応じる象である。婚姻を終生の永いものとするには、後々弊害が出ないように能く対策し、始めを慎まなければならない。