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雷 澤 歸 妹

らいたくきまい

The Marrying Maiden

歸妹。征凶。无攸利。

彖曰、歸妹。天地之大義也。天地不交。而萬物不興。歸妹人之終始也。說以動。所歸妹也。征凶。位不當也。无攸利。柔乘剛也。

象曰、澤上有雷。歸妹。君子以永終知敝。

歸妹は、征ゆけば凶なり。利ろしき攸ところ无し。

彖に曰く、歸妹は、天地の大義なり。天地交はらずして、萬物興らず。歸妹は、人の終始なり。說よろこびて以て動く、歸ぐ所は妹なり。征けば凶なりとは、位當たらざればなり。利ろしき攸无しとは、柔、剛に乘のればなり。

象に曰く、澤の上に雷有るは、歸妹なり。君子以て終はりを永くし、敝やぶれを知る。

歸妹の卦は、進んで行けば凶であり、よろしいところは何もない。

彖傳にいう。歸妹は、天地の大いなる道理である。天と地とが交はらなければ、萬物は興らない。歸妹は、人の終はりであり始めである(女が嫁ぐのは一生の落ち着く終はり、子を生み育てるのは人の始めである)。喜んで動く、その嫁ぐのは妹(少女)である。進めば凶であるとは、位がふさはしくないからである。よろしいところが何もないとは、柔が剛の上に乘つてゐるからである。

象傳にいう。澤の上に雷があるのが歸妹である。君子はこれに倣ひ、終はりを長く保たうと心がけ、(結びつきが正しくなければ)やがて破れが來ることを知る。

Commentary 東洋文化硏究會 解釋 雷澤歸妹 卦全体の解説

雷澤歸妹らいたくきまいは、下卦の兌(少女・說び)の上に、上卦の震(長男・動き)を載せる卦である。王弼先生は、妹を少女の稱とし、兌の少陰と震の長陽とをもつて、說びて以て動く嫁妹の象と說く。朱子先生は、少女が長男に從ひ、しかも說びをもつて動くは、みな正にあらずとし、二より五まで位を得ず、三・五は柔にして剛に乘るゆゑ、征けば凶と說く。されど彖傳は、まづ歸妹を「天地の大義なり」と稱へる。天地交はらざれば萬物興らず、男女の結びつきは人の終始をなす。尊い道であるからこそ、その始まりの正しさが問はれるのである。

下卦は兌(沢・少女・喜ぶ)、上卦は震(雷・長男・動く)です。少女が年上の男性に喜んで従って動く形で、妹を嫁がせる象とされます。朱子は、少女が長男に従い、しかも喜びにまかせて動くのは、どちらも正しくないと説きます。爻を見ても、二爻から五爻までがすべて正しい位にありません。それでも彖伝は、男女の結びつきそのものは尊いと言います。問題は結婚ではなく、結び方の正しさにあるのです。綜卦も錯卦も風山漸で、順を踏んで嫁ぐ漸と対になっています。

雷が鳴りひびく下で、沢の水がざわざわと波立っている。この卦は、そんな姿をしています。若い娘が、気持ちのたかぶりにまかせて、年上の相手のもとへ急いで動く形でもあります。結婚は、人の一生の大切な節目です。相手のことも、自分のことも、よく知らないまま決めてしまうと、あとで後悔するかもしれません。大事な決断ほど、勢いではなく、正しい順序と立場をふまえることが必要です。気持ちが盛り上がった時こそ、一度落ち着いて考えましょう。

Hexagram Statement
Commentary 東洋文化硏究會 解釋

卦辭は「征けば凶なり。利ろしき攸无し」と、きはめて嚴しく告げる。孔穎達先生は、娣として嫁ぐ者はもとより正しき匹たぐひにあらず、ただ自ら卑しく退きて元妃げんぴに仕ふべしとし、妾が進んで寵を求むれば、后と竝ぶ凶咎の敗れありと說く。彖傳は凶の理由を、位當たらず、柔が剛に乘るに歸する。身分に見合はぬ位に在りて、下の者が上を凌ぐ形である。大象傳の「終はりを永くし、敝れを知る」も、始めに正しからぬ合ひ方は終はりに破れを生むと見通し、長き終はりを圖れといふのである。立場を越えて求むる前に、事の終はりを思ふべし。

卦辞は「征凶,无攸利」と短く厳しい言葉です。彖伝はその理由を二つ挙げます。「位不當」は二爻から五爻までがどれも正しい位にないこと、「柔乘剛」は六三が九二の上に、六五が九四の上に乗っていることです。ただし彖伝は冒頭で、天地が交わらなければ万物は興らないと言い、結婚を「天地之大義」とたたえます。大象伝の「永終知敝」を朱子は、結びつきが正しくないのを見て、その終わりに破れがあると知ることだと読みます。物事は終わりから考えよという教えです。

「このまま進むと、よくないことになる」。この卦は、はっきりとそう注意しています。それは、結婚がいけないからではありません。人と人が結ばれることは、天と地が交わって命が生まれるのと同じくらい大切なことだと言っています。だからこそ、自分の立場をわきまえず、勢いで物事を決めると、あとで大きなひびが入ります。始める時に、終わりのことまで考えておく。それが、長く続く関係をつくるこつです。

卦 辭

歸妹。征凶。无攸利。

歸妹は、征ゆけば凶なり。利ろしき攸ところ无し。

歸妹の卦は、進んで行けば凶であり、よろしいところは何もない。

彖 傳

歸妹。天地之大義也。天地不交。而萬物不興。歸妹人之終始也。說以動。所歸妹也。征凶。位不當也。无攸利。柔乘剛也。

歸妹は、天地の大義なり。天地交はらずして、萬物興らず。歸妹は、人の終始なり。說よろこびて以て動く、歸ぐ所は妹なり。征けば凶なりとは、位當たらざればなり。利ろしき攸无しとは、柔、剛に乘のればなり。

歸妹は、天地の大いなる道理である。天と地とが交はらなければ、萬物は興らない。歸妹は、人の終はりであり始めである(女が嫁ぐのは一生の落ち着く終はり、子を生み育てるのは人の始めである)。喜んで動く、その嫁ぐのは妹(少女)である。進めば凶であるとは、位がふさはしくないからである。よろしいところが何もないとは、柔が剛の上に乘つてゐるからである。

大象傳

澤上有雷。歸妹。君子以永終知敝。

澤の上に雷有るは、歸妹なり。君子以て終はりを永くし、敝やぶれを知る。

澤の上に雷があるのが歸妹である。君子はこれに倣ひ、終はりを長く保たうと心がけ、(結びつきが正しくなければ)やがて破れが來ることを知る。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は妹を少女の稱とし、兌の少陰と震の長陽とをもつて說びて動く嫁妹の象とす。彖には、位當たらざるに說動して更に進みを求むるは妖邪の道とし、征けば不正の凶あり、處れば乘剛の逆ありと說く。

〔卦辭〕妹者,少女之稱也。兌為少陰,震為長陽,少陰而乘長陽,說以動,嫁妹之象也。
〔彖傳〕陰陽既合,長少又交,「天地之大義」,人倫之終始。 少女而與長男交,少女所不樂也。而今「說以動」,所歸必妹也。雖與長男交,嫁而系娣,是以「說」也。 履於,皆不當位,釋「征凶」之義。位既不當,明非正嫡,因說動而更求進,妖邪之道也,所戒其「征凶」也。 以征則有不正之凶,以處則有乘剛之逆。
〔大象傳〕歸妹,相終始之道也,故以「永終知敝」。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、歸妹を、妹が娣として從ひ嫁ぐ義とし、古は諸侯一たび九女を娶るといふ。妾媵は自ら卑退して元妃に事ふべく、進みて寵を求むれば后と竝ぶ凶咎ありとし、柔乘剛を賤の貴を陵ぐことと解す。

〔卦辭〕正義曰:歸妹者,卦名也。婦人謂嫁曰歸,「歸妹」猶言嫁妹也。然《易》論歸妹得名不同,《泰卦》六五云:「帝乙歸妹。」彼據兄嫁妹謂之「歸妹」。此卦名歸妹,以妹從娣而嫁,謂之「歸妹」。故初九爻辭云「歸妹以娣是」也。上咸卦明二少相感,恒卦明二長相承,今此卦以少承長,非是匹敵,明是妹從娣嫁,故謂之歸妹焉。古者諸侯一取九女,嫡夫人及左右媵皆以侄娣從,故以此卦當之矣。不言歸侄者,女娣是兄弟之行,亦舉尊以包之也。「征凶,無攸利」者,歸妹之戒也。征謂進有所往也。妹從娣嫁,本非正匹,唯須自守卑退以事元妃。若妾進求寵,則有並後凶咎之敗,故曰「征凶,無攸利」。
〔彖傳〕正義曰:「歸妹,天地之大義也。天地不交,而萬物不興」者,此舉天地交合,然後萬物蕃興,證美歸妹之義。所以未及釋卦名,先引證者,以歸妹之義,非人情所欲,且違於匹對之理。蓋以聖人制禮,令侄娣從其姑娣而充妾媵者,所以廣其繼嗣,以象天地以少陰少陽、長陰長陽之氣共相交接,所以蕃興萬物也。「歸妹,人之終始也」者,上既引天地交合為證,此又舉人事「歸妹」結合其義也。天地以陰陽相合而得生物不已,人倫以長少相交而得繼嗣不絕,歸妹豈非「天地之大義,人倫之終始」也? 正義曰:此就二體釋歸妹之義。少女而與長男交,少女所不樂也。而今「說以動」所歸必妹也,雖與長男交,嫁而系於娣,是以說也。系娣所以說者,既系娣為媵,不得別適,若其不以備數,更有動望之憂,故系娣而行合禮,「說以動」也。 「無攸利,柔乘剛也」。○正義曰:此因六三、六五乘剛,釋「無攸利」之義。夫陽貴而陰賤,以妾媵之賤,進求殊寵,即是以賤陵貴,故無施而利也。
〔大象傳〕正義曰:「澤上有雷」,「說以動」也。故曰「歸妹君子以永終知敝」者,「歸妹相終始之道也」,故君子象此以永長其終,知應有不終之敝故也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、少女の兌が長男の震に從ひ、說びて動くはみな正にあらずとし、二より五まで正を得ず、三・五は柔にして剛に乘るゆゑ征けば凶と占ふ。大象には、合ふこと正しからざるを觀て終はりに敝れあるを知ると說く。

〔卦辭〕婦人謂嫁曰歸妹少女也兌以少女而從震之長男而其情又為以説而動皆非正也故卦為歸妹而卦之諸爻自二至五皆不得正三五又皆以柔乘剛故其占征凶而无所利也
〔彖傳〕釋卦名義也歸者女之終生育者人之始 又以卦徳言之 又以卦體釋卦辭男女之交本皆正理唯若此卦則不得其正也
〔大象傳〕雷動澤隨歸妹之象君子觀其合之不正知其終之有敝也推之事物莫不皆然

First Yang
初九

歸 妹 以 娣

きまい ていをもつてす

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Commentary · 初九 以娣 東洋文化硏究會 解釋

初九は卦の最も下に在り、上に正しく應ずる者がない。ゆゑに正妻ではなく、娣ていとして嫁ぐ。孔穎達先生は、妹の姊を繼ぎて娣となるは正しき配にあらざれども常の道を失はず、跛者の足は正しからずとも步むを廢せざるがごとしと說く。朱子先生は、陽剛は女子にあつては賢正の德なれど、娣の賤しき身なれば、わづかに其の君を承け助くるのみとする。されど小象傳は「恆を以てなり」と認める。己の分を知り、目立たぬ所で正しく務める者は、進んで吉を得る。主役でなくとも、支へる者の誠は尊いのである。

初九は卦の最下位の陽爻で、陽位にあって位は正しいのですが、上の九四とは陽どうしで応がありません。正式な相手がいないので、正妻ではなく娣(姉に従って嫁ぐ妹)として嫁ぐ形になります。朱子は、陽剛は女性においては賢く正しい徳だが、娣の低い立場では正妻を助けることしかできないとし、それを足の不自由な人がそれでも歩く姿にたとえます。小象伝の「以恆也」は、常に変わらない徳を持つことを言います。

主役になれなくても、自分の役目をきちんと果たす人がいます。この線の娘は、正式な妻ではなく、姉といっしょに嫁いで支える立場になりました。足が不自由でも、ゆっくり確かに歩いていけるように、できることを着実にこなします。目立たない立場を不満に思わず、まわりを支え続けることで、よい結果をむかえます。チームの中で脇役になった時も、自分にしかできない支え方があるはずです。その役目を大事にしましょう。

爻 辭

初九。歸妹以娣。跛能履。征吉。

初九。歸妹、娣ていを以てす。跛あしなへにして能く履ふむ。征けば吉なり。

初九。妹が娣(姊に從つて嫁ぐ妹)として嫁ぐ。足の不自由な者が、それでもよく步むやうなものである。進んで行けば吉である。

小象傳

歸妹以娣。以恆也。跛能履吉。相承也。

歸妹、娣を以てすとは、恆つねを以てなり。跛にして能く履む、吉なりとは、相承くるなり。

妹が娣として嫁ぐのは、常に變はらぬ德があるからである。足の不自由な者がよく步んで吉であるとは、(正妻を)承け助けるからである。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は、少女が長男と耦となるは敵にあらず、娣として從ふ義なりとし、少女の行ひは娣に若くはなしとす。跛にして能く履むは恆久の義にして相承くる道なれば、これを以て進むは吉なりと說く。

〔爻辭〕少女而與長男為耦,非敵之謂,是娣從之義也。妹,少女之稱也。少女之行,善莫若娣。夫承嗣以君之子,雖幼而不妄行,少女以娣,雖「跛能履」,斯乃恒久之義,吉而相承之道也。以斯而進,吉其宜也。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、妹の姊を繼ぎて娣となるは正配にあらざれども常道を失はず、跛人の足の正しからずとも履むを廢せざるがごとしと解す。妻として行けば凶なれど、娣として行けば吉とする。

〔爻辭〕正義曰:「歸妹以娣」者,少女謂之妹,從娣而行謂之歸。初九以兌適震,非夫婦匹敵,是從娣之義也,故曰「歸妹以娣」也。「跛能履」者,妹而繼姊為娣,雖非正配,不失常道,譬猶跛人之足然。雖不正,不廢能履,故曰「跛能履」也。「征吉」者,少長非偶,為妻而行則凶焉,為娣而行則吉,故曰「征吉」也。
〔小象傳〕正義曰:「以恒也」者,妹而為娣,恒久之道也。「吉相承也」者,行得其宜,是相承之道也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、初九は下に居りて正應なきゆゑ娣の象とし、陽剛は女子にあつて賢正の德なれど、娣の賤しきは僅かに其の君を承け助くるのみなれば跛能履の象ありとす。小象の恆は常久の德をいふとする。

〔爻辭〕初九居下而无正應故為娣象然陽剛在女子為賢正之徳但為娣之賤僅能承助其君而已故又為跛能履之象而其占則征吉也
〔小象傳〕恒謂有常久之徳

Second Yang
九二

眇 能 視

すがめにしてよくみる

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Commentary · 九二 眇視 東洋文化硏究會 解釋

九二は陽剛にして下卦の中を得る。朱子先生は、これを女の賢なる者とし、されど上に應ずる六五は陰柔にして正しからず、女賢にして配の良からざる者と說く。ゆゑに大いに內助の功を成し得ず、片目にしてなほ能く見るがごとし。「幽人いうじんの貞に利ろし」とは、朱子先生によれば、道を抱き正を守りて偶せざる人のごとく、己を保てとの意である。孔穎達先生は、位を失ふといへども、內に居りて中に處り、能く其の常を守ると說く。相手に惠まれぬ時も、己の正しさを曲げぬ者は、常を變ぜずして身を保つ。

九二は下卦の中にある陽爻です。陽爻が陰位にあって位は正しくありませんが、中を得ています。上の六五とは陰陽で応じますが、六五は陰爻が陽位にいて正しくありません。朱子はこれを、賢い女性が良くない相手と結ばれ、内助の功を十分に果たせない状態と読みます。片目でもものは見えるように、限られた中でも役目は果たせます。「幽人」は、朱子によれば、道を抱いて正しさを守りながら、よい巡り合わせに恵まれない人のことで、その人のように正しさを保つのがよいとされます。

結婚した相手が、思っていたような人ではなかった。そんな時でも、自分まで投げやりになる必要はありません。この線の女性は、かしこくて正しい心を持っていますが、相手に恵まれず、思うように力を出せずにいます。それでも、片目でもものを見ることはできます。ひっそりとした暮らしの中でも、自分の正しさを守り続けることが大切だと教えています。環境のせいにせず、自分にできることを静かに続けましょう。

爻 辭

九二。眇能視。利幽人之貞。

九二。眇すがめにして能く視る。幽人いうじんの貞に利ろし。

九二。片目の不自由な者が、それでもよく見る。世に隱れて道を守る人のやうに、正しさを守るのがよい。

小象傳

利幽人之貞。未變常也。

幽人の貞に利ろしとは、未だ常を變ぜざるなり。

隱れて道を守る人のやうに正しさを守るのがよいとは、まだ常の道を變へてゐないのである。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は、九二は位を失へども內に居りて中に處り、眇にして猶ほ能く視るがごとく、常を保つに足るとす。內に在りて中を履み、能く其の常を守るゆゑ、幽人の貞に利ろしと說く。

〔爻辭〕雖失其位,而居內處中,眇猶能視,足以保常也。在內履中,而能守其常,故」利幽人之貞「也。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、九二は位を失へども內に居りて中に處り、正配にあらずとも交合の道を失はず、眇目の人の視ること正しからずとも視るを廢せざるがごとしと解す。小象には、中を履みて偏らざるゆゑ常を變ぜずとする。

〔爻辭〕正義曰:九二不云歸妹者,既在歸妹之卦,歸妹可知,故無不言也。然九二雖失其位,不廢居內處中。以言歸妹,雖非正配,不失交合之道,猶如眇目之人,視雖不正,不廢能視耳,故曰「眇能視」也。「利幽人之貞」者,居內處中,能守其常,施之於人,是處幽而不失其貞正也。故曰「利幽人之貞也」。
〔小象傳〕正義曰:「未變常也」者,貞正者人之常也,九三失位,嫌其變常不貞也,能以履中不偏,故云「未變常」也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、九二は陽剛にして中を得たる賢女なれど、正應の六五は陰柔不正にして、女賢にして配良からず、內助の功を大いに成し得ざるゆゑ眇能視の象とす。幽人は道を抱き正を守りて偶せざる者とする。

〔爻辭〕眇能視承上爻而言九二陽剛得中女之賢也上有正應而反隂柔不正乃女賢而配不良不能大成内助之功故為眇能視之象而其占則利幽人之貞也幽人亦抱道守正而不偶者也

Third Yin
六三

歸 妹 以 須

きまい もつてまつ

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Commentary · 六三 以須 東洋文化硏究會 解釋

六三は陰をもつて陽位に居り、中も正も得ず、しかも下卦の兌の主として說ぶ者である。朱子先生は、これを女の正しからざる者、人の娶めとらざる者とし、適く所を得ずして、反りて娣となる象と說く。王弼先生は、室主なほ存するに進みを求め、時に値あはざるゆゑ須つありとし、反り歸りて時を待ち、娣としてはじめて行くと說く。高きを望みて焦る者は、かへつて低きに甘んずる結果を招く。己の位に見合はぬ望みを抱かず、時を待つことを知れば、恥を重ねずにすむのである。

六三は下卦の最上位で、陰爻が陽位にあって中でも正でもありません。下卦の兌(喜び)の主でもあり、上六とも陰どうしで応じません。朱子は、これを正しくない女性で、娶ろうとする人がいないため嫁ぎ先が得られず、立ち戻って娣として嫁ぐ姿だとします。「須」は待つことと読みますが、朱子は「須は身分の低い女のこと」という別の説も紹介しています。高望みをして時を逃し、かえって低い立場に甘んじることになる。分をわきまえることの大切さが説かれています。

いい相手と結ばれたいと待っていたのに、なかなか声がかからず、結局、姉につき従う立場で嫁ぐことになった娘の話です。人に気に入られようとするあまり、ふるまいが軽くなると、かえって信頼を失います。自分の立場や実力に合わない望みを持つと、遠回りをすることもあります。今の自分に何が足りないかを見つめましょう。足もとをよく見て、できることから一つずつ積み上げていくことが大切です。

爻 辭

六三。歸妹以須。反歸以娣。

六三。歸妹、以て須まつ。反かへりて歸ぐに娣を以てす。

六三。嫁がうとする娘が、待つことになる。立ちもどつて、娣として嫁ぐ。

小象傳

歸妹以須。未當也。

歸妹、以て須つとは、未だ當たらざるなり。

嫁がうとする娘が待つことになるのは、まだ(位が)ふさはしくないからである。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は、室主なほ存するに六三が進みを求め、進むも時に値はざるゆゑ須つありとし、進むべからざれば反り歸りて時を待ち、娣としてはじめて行くと說く。

〔爻辭〕室主猶存,而求進焉。進未值時,故有須也。不可以進,故「反歸」待時,「以娣」乃行也。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、六三は下體の上に處りて室主たらんと求むる象あれど、位當たらず室主なほ存すれば時に値はずと解す。時に當たらざれば待つべく、反り歸りて時を待ち娣として行くとし、小象の未當を未だ其の時に當たらざるとする。

〔爻辭〕正義曰:「歸妹以須」者,六三在「歸妹」之時,處下體之上,有欲求為室主之象,而居不當位,則是室主獨存,室主既存,而欲求進,為末值其時也。未當其時,則宜有待,故曰「歸妹以須也」。「反歸以娣」者,既而有須,不可以進,宜反歸待時,以娣乃行,故曰「反歸以娣」。
〔小象傳〕正義曰:「未當也」者,未當其時,故宜有待也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、六三は陰柔にして中正ならず、また說の主なれば、女の正しからずして人の娶らざる者とし、未だ適く所を得ずして反りて娣となる象と說く。また須を女の賤しき者とする一說を引く。

〔爻辭〕六三隂柔而不中正又為説之主女之不正人莫之取者也故為未得所適而反歸為娣之象或曰須女之賤者

Fourth Yang
九四

歸 妹 愆 期

きまい きをあやまる

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Commentary · 九四 愆期 東洋文化硏究會 解釋

九四は陽をもつて上卦に居り、下の初九とは陽どうしにて應がない。朱子先生は、これを賢き女の輕々しく人に從はず、期を愆あやまりて歸ぐべき所を待つ象とし、まさに六三と相反すと說く。六三は正しからずして人に娶られず、九四は賢なるがゆゑに自ら期を延べ、遲きを恥ぢない。小象傳は「待つこと有りて行くなり」と說く。孔穎達先生も、嫁ぐは時に及ぶべきに、期を過ぎて遲く歸ぐは、待つ所ありて後に行かんとする志ゆゑと解す。時流に追はれて妥協するより、ふさはしい時を待つ方がよい。遲れることを恐れず、志を保つべし。

九四は上卦の最下位で、陽爻が陰位にあって位は正しくありません。下の初九とは陽どうしで、応じ合う相手がいません。朱子は、賢い女性が軽々しく人に従わず、時期を遅らせてふさわしい相手を待つ姿とし、六三とは正反対だと説きます。六三は正しくないために嫁ぎ先がなく、九四は賢いからこそ自分から時を待つのです。小象伝は「有待而行也」と言い、待つことには目的があると示します。遅れることは、必ずしも失敗ではありません。

まわりの友だちが次々と結婚していく中、この線の女性は、あせらずにふさわしい相手を待っています。時期がおくれても、それは自分を大切にしている証拠です。遅くなっても、ちょうどよい時は必ずやってきます。人と比べて「自分だけおくれている」と不安になることは、だれにでもあります。でも、急いで決めて後悔するより、納得できる時を待つほうがずっとよいのです。自分のペースを信じて、焦らずに準備を続けましょう。

爻 辭

九四。歸妹愆期。遲歸有時。

九四。歸妹、期を愆あやまる。遲く歸ぐに時有り。

九四。嫁ぐ娘が、時期を遲らせる。遲れて嫁ぐのには、しかるべき時がある。

小象傳

愆期之志。有待而行也。

期を愆るの志は、待つこと有りて行くなり。

時期を遲らせる心は、待つところがあつて、それから行かうとするのである。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は、九四は正しからず應なくして人に適くゆゑ、彼の道窮まり盡きて與に交はる所なきを待ちて、然る後に往くべしとし、ゆゑに期を愆りて遲く歸ぐは時を待つなりと說く。

〔爻辭〕夫以不正無應而適人也,必須彼道窮盡,無所與交,然後乃可以往,故「愆期遲歸」,以待時也。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、九四は應なき身にて人に適くゆゑ、彼の道の窮まり盡くるを待ちて後に往くべしと解す。小象には、嫁ぐは時に及ぶべきに期を過ぎて遲く歸ぐは、待つ所ありて後に行かんとする志なりとする。

〔爻辭〕正義曰:九四居下得位,又無其應,以斯適人,「必待彼道窮盡,無所與交,然後乃可以往」,故曰「愆期遲歸有時」也。
〔小象傳〕正義曰:嫁宜及時。今乃過期而遲歸者,此嫁者之志,正欲有所待而後乃行也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、九四は陽をもつて上體に居りて正應なく、賢女の輕々しく人に從はず、期を愆りて歸ぐ所を待つ象とし、まさに六三と相反すとする。

〔爻辭〕九四以陽居上體而无正應賢女不輕從人而愆期以待所歸之象正與六三相反

Fifth Yin — Sovereign Position
六五

帝 乙 歸 妹

ていいつ いもうとをとつがしむ

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Commentary · 六五 帝乙 東洋文化硏究會 解釋

六五は柔をもつて尊位に居り、上卦の中を得て、下の九二と應ずる。帝乙が妹を嫁がしむるとは、高貴の女が身を低くして下に嫁ぐことである。朱子先生は、德を尚びて飾りを貴ばぬゆゑ、帝の女の下嫁して服の盛んならざる象とし、されど女德の盛んなることこれに加ふるなしとして、月の望に幾き象を見る。小象傳も、中に在りて貴きを以て行くといふ。眞の貴さは衣裳の華やかさにあらず、內に具はる德にある。望に幾き月は、滿ちてなほ溢れぬ姿とも見られる。德盛んにして驕らぬ者が吉を得るのである。

六五は上卦の中にある陰爻で、君位にあります。陰爻が陽位にあって位は正しくありませんが、下の九二とは陰陽で応じています。帝乙(帝王の名)が妹を嫁がせるとは、高貴な女性が身分の低い相手に嫁ぐことです。朱子は、六五は徳を重んじて飾りを貴ばないので、花嫁の衣装が娣の衣装より質素であり、それでも女性の徳の盛んなことはこの上ないので「月幾望」(満月に近い月)の象があると説きます。外見の豪華さより内面の徳を尊ぶ姿勢が、吉をもたらすのです。

王さまの妹が、お嫁に行く日をむかえました。身分の高い花嫁なのに、その衣装は、いっしょに嫁ぐ妹の衣装よりも地味でした。それは、見た目の豪華さより、心の美しさを大切にしているからです。満月の少し手前の月のように、その人柄は明るく輝いています。立場が上になるほど、人は飾りたくなるものです。でも、本当に人を引きつけるのは、ひかえめで誠実な心です。外見よりも、中身をみがくことを大事にしましょう。

爻 辭

六五。帝乙歸妹。其君之袂。不如其娣之袂良。月幾望。吉。

六五。帝乙ていいつ、妹を歸がしむ。其の君の袂たもとは、其の娣の袂の良きに如かず。月、望ばうに幾ちかし。吉なり。

六五。帝乙が妹を嫁がせる。その君(嫁ぐ姫君)の袂(衣裳)は、娣の袂の美しさに及ばない。月は滿月に近い。吉である。

小象傳

帝乙歸妹。不如其娣之袂良也。其位在中。以貴行也。

帝乙、妹を歸がしむ、其の娣の袂の良きに如かざるなり。其の位、中に在りて、貴きを以て行くなり。

帝乙が妹を嫁がせ、その衣裳が娣の袂の美しさに及ばないのは、その位が中にあり、(飾りではなく)中の德の貴さをもつて行くからである。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は、六五は歸妹の中に獨り貴位に處るゆゑ帝乙歸妹といひ、袂は禮容をなす衣袖とす。配は九二に在り、長を以て少に從ふは少を以て長に從ふの美に若かず、されど貴を以て行けば往きて必ず合ふゆゑ吉とする。

〔爻辭〕歸妹之中,獨處貴位,故謂之「帝乙歸妹」也。袂,衣袖,所以為禮容者也。「其君之袂」,為帝乙所寵也,即五也。為帝乙所崇飾,故謂之「其君之袂」也。配在九二,兌少震長,以長從少,不若以少從長之為美也,故曰「不若其娣之袂良」也。位在乎中,以貴而行,極陰之盛,以斯適配,雖不若少,往亦必合,故曰「月幾望,吉」也。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、六五は帝王の嫁がしむる妹にして長女の象、其の君とは五なりとし、帝王が崇飾する袂も少を以て長に從ふの美に及ばずと解す。陰にして貴盛なるは月の望に近きがごとく、往けば必ず志に合ふゆゑ吉とする。

〔爻辭〕正義曰:「帝乙歸妹」者,六五居歸妹之中,「獨處貴位」,是帝王之所嫁妹也,故曰「帝乙歸妹」。「其君之袂,不如其娣之袂良」者,六五雖處貴位,卦是長陽之卦,若以爻為人,即是婦人之道,故為帝乙之妹。既居長卦,乃是長女之象,其君即五也。袂,衣袖也,所舉斂以為禮容,帝王嫁妹,為之崇飾,故曰「其君之袂」也。「配在九二,兌少震長,以長從少」者,可以從少,雖有其君崇飾之袂,猶不若以少從長之為美,故曰「不如其娣之袂良」也。「月幾望吉」者,陰而貴盛,如月之近望,以斯適配,雖不如以少從長,然以貴而行,往必合志,故得吉也,故曰「月幾望,吉」也。
〔小象傳〕正義曰:「帝乙歸妹,不如其娣之袂良」者,釋其六五雖所居貴位,言長不如少也,言不必少女,而從於長男也。「其位在中,以貴行也」者,釋「月幾望,吉」也。既以長適少,非歸妹之美而得吉者,其位在五之中,以貴盛而行,所往必得合,而獲吉也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、六五は柔中にして尊に居り下の九二に應じ、德を尚びて飾りを貴ばざるゆゑ帝女下嫁して服盛んならざる象とし、女德の盛んなるゆゑ月幾望の象ありとす。小象には中德の貴きを以て行くゆゑ飾りを尚ばずとする。

〔爻辭〕六五柔中居尊下應九二尚德而不貴飾故為帝女下嫁而服不盛之象然女徳之盛无以加此故又為月幾望之象而占者如之則吉也
〔小象傳〕以其有中徳之貴而行故不尚飾

Top Yin
上六

女 承 筐

をんな かたみをうく

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Commentary · 上六 承筐 東洋文化硏究會 解釋

上六は卦の窮まる所に居り、陰柔にして下の六三とも應がない。朱子先生は、これを歸妹の終はりに居りて應なく、婚を約して終はらざる者と說く。女は筐かたみを捧げ持てども中は空しく、士は羊を刲さけども血が出ない。孔穎達先生は、筐はもと幣へいを盛るものにして、今その實なきは、虛しき筐を捧ぐるのみと說く。王弼先生は、上に承くる所なく下に應ずる者もなく、進退ともに與する者なしといふ。形ばかり整へて、中身の伴はぬ結びつきは、何ものも生み出さない。誠のない約束は、どれほど飾つても實を結ばぬのである。

上六は卦の最上位で、歸妹の終わりにあたります。陰爻が陰位にあって位は正しいのですが、下の六三とは陰どうしで応じません。朱子は、婚約しながら最後まで結ばれない者の姿だとします。女が捧げる筐(かご)は空で、士が裂く羊からは血が出ない。筐は本来、贈り物を盛るもので、儀式が形だけで中身を伴わないことを示しています。小象伝の「承虛筐也」も、空のかごを捧げ持つことを言います。形式を整えても、実質がなければ何も生まれないという戒めです。

空っぽのかごを大事そうにかかえ、血の出ない羊をさばいている。この線は、そんなむなしい光景を描いています。約束はしたけれど、心がこもっていないので、何も実を結ばないのです。形だけ整えても、中身がなければ、人との関係は長続きしません。あいさつや約束も、相手を思う気持ちがあってこそ意味を持ちます。だれかと約束をする時は、それを本当に守れるかを考え、守ると決めたら心をこめて守りましょう。

爻 辭

上六。女承筐无實。士刲羊无血。无攸利。

上六。女、筐かたみを承けて實无し。士、羊を刲さきて血无し。利ろしき攸无し。

上六。女が筐(かご)を捧げ持つが、中身がない。士が羊を割くが、血が出ない。よろしいところは何もない。

小象傳

上六无實。承虛筐也。

上六の實无きは、虛しき筐を承くるなり。

上六に中身がないとは、空の筐を捧げ持つてゐるのである。

王王弼先生『周易注』(三國魏)▾

出典:『周易正義』所収の王弼注(ウィキソース)

王弼先生は羊を三とし、上六は卦の窮まりに處りて仰ぎて承くる所なく下に應もなしとす。女として命を承くれば筐虛しく、士として命を下せば羊を刲けども血なく、進退ともに與する者なきゆゑ利ろしき攸なしと說く。

〔爻辭〕羊謂三也。處卦之窮,仰無所承,下又無應,為女而承命,則筐虛而莫之與。為士而下命,則「刲羊」而「無血」。「刲血」而「無血」,不應所命也。進退莫與,故曰「無攸利」也。

孔孔穎達先生『周易正義』(唐)▾

出典:『周易正義』(ウィキソース)

孔穎達先生は、女の行ひは上に承順あるを美とし、士の功は下に應命あるを貴しとするに、上六は仰ぎて承くる所なく下に應もなしと解す。小象には、筐はもと幣を盛るに今は實なく、虛しき筐を承ぐるのみとする。

〔爻辭〕正義曰:女之為行,以上有承順為美;士之為功,以下有應命為貴,上六處卦之窮,仰則無所承受,故為女承筐,則虛而無實。又下無其應,下命則無應之者,故為「士刲羊」則乾而「無和」,故曰「女承筐,無實,士刲羊無血。」則進退莫與,故無所利。
〔小象傳〕正義曰:「承虛筐」者,筐本盛幣,以幣為實。今之「無實」,正是承捧虛筐,空無所有也。

朱朱熹先生『周易本義』(南宋)▾

出典:『周易本義』(四庫全書本)卷二(ウィキソース)

朱子先生は、上六は陰柔をもつて歸妹の終はりに居りて應なく、婚を約して終へざる者とし、ゆゑに女は筐を承けて實なく、士は羊を刲きて血なき象ありて、占に利ろしき所なしとする。

〔爻辭〕上六以隂柔居歸妹之終而无應約婚而不終者也故其象如此而於占為无所利也

Supplementary Notes
上・下卦震(雷) / 兌(澤)
卦 德上卦 震:動 / 下卦 兌:說
象 意上卦 震:雷・龍 / 下卦 兌:澤・羊
方 位上卦 震:東 / 下卦 兌:西(後天八卦)
季 節上卦 震:春(春分の頃) / 下卦 兌:秋(秋分の頃)
五 行上卦 震:木 / 下卦 兌:金
身 體上卦 震:足 / 下卦 兌:口
人 物上卦 震:長男 / 下卦 兌:少女
八 宮兌宮 歸魂卦(京房の八宮)
綜・錯・互綜卦 風山漸(第五十三卦)
錯卦 風山漸(第五十三卦)
互卦 水火既濟(第六十三卦)
序卦傳進必有所歸。故受之以歸妹。
進めば必ず歸する所有り。故に之を受くるに歸妹を以てす。
雜卦傳歸妹女之終也。未濟男之窮也。
歸妹は、女の終はりなり。未濟は、男の窮まりなり。
占断總括雷澤歸妹を得た場合、一般には順序を誤つた結びつきの卦。情に動かされて急げば、後に破れを招く。己の立場をわきまへ、事の終はりまで見通して動くことが肝要。
嫁ぐ時の三つの姿初九(娣として嫁ぎ、征けば吉)・六三(以て須ち、反りて娣となる)・九四(期を愆りて時を待つ) ともに正應のない三爻が、身の處し方によつて異なる行く末を迎へる